概要
EVやロボットなどに使われるモーター・インバータにおいては、高精度な消費電力および効率の評価が求められています。評価時には、定常時のみならず、加速・減速時の過渡的な瞬時電力や電圧・電流波形の観測も重要です。
また、モーターのトルクや回転数、その他のセンサー信号、制御データの同時計測も、広い動作領域内の検証のために求められています。
課題
ソリューション
電圧・電流を直接入力できる電力計/パワーアナライザ WTシリーズは、広帯域(電力1MHz)・高確度(電力基本確度±0.03%)・最大7入力のWT5000 プレシジョンパワーアナライザをはじめ、「高精度な電力測定」と「時間軸の分解能を上げた波形測定」との両立を実現したPX8000 プレシジョンパワースコープをラインアップしており、より高精度な電力・効率測定をご提供します。
nアプリケーション事例
最大4モーターの評価機能搭載(WT5000)
EV開発においては、複数のモーターを同時に評価する必要があります。特に四輪駆動車の場合、4モーターの同時評価が求められています。
WT5000では、/MTR1と/MTR2オプションを搭載することで、1台で4モーターの同時評価が可能です。また、これらオプションは、2つのモーターのA、BおよびZ 相信号の入力による回転速度、回転方向、電気角の測定にも使用可能です。
最高2 MS/sの波形データストリーミング、高精度電力値と波形の同期測定(WT5000)
通常の電力パラメータ測定と同期して、電力演算の元になる同区間の電圧/電流波形データやトルク/回転速度の波形データを、最高2 MS/sで、デッドタイムなく連続でPCに取り込むことができます(/DSオプション)。
数値と波形の両者方を同時に解析することにより、波形上のノイズや制御状態の変化が、波形の変化を通じて電力値や各パラメータにどのように影響するかなど、より詳細な解析が可能になります。
また、回転数、トルクを組み合わせて試験する効率マップ作成において、効率データはもちろん、電力値の演算結果に同期した波形データを保存できます。さらに、評価レポートに求められることもある電圧/電流波形の元データを常にバックアップできます。
波形データのPCストリーミング(最高 2MS/s)
電圧、電流、トルク、回転速度の基本特性試験
V-I特性、S-T特性、I-T特性試験
プレシジョンパワースコープPX8000に搭載されている「X-Y表示機能」と「MATH演算機能」を活用することで、回転速度とトルクデータを周期ごとの時系列データに変換し、V-I特性(電圧電流の位相特性)、S-T特性(回転速度–トルク)、I-T特性(電流–トルク)などのモーターの特性評価ができます。波形観測器による波形確認の必要がないため、短時間に効率的に評価を進めることができます。
波形表示とV-I特性、S-T特性の評価例
直接測定している電圧・電流波形の表示で、
リアルタイムにX-Y表示ができます。
モーター・インバータの過渡電力測定
プレシジョンパワースコープPX8000は、100MS/s、20MHz帯域、かつ12ビットの分解能により、高速のインバータ波形を的確にとらえて、瞬時に変化する過渡的な電力演算ができます。
また、電圧/電流の電気信号とともにトルクおよび回転速度も入力でき、インバータ/駆動モーターのインバータ効率、モーター効率、総合効率の評価ができます。
カーソル指定区間の電力演算例
IEC/JIS規格試験
プレシジョンパワーアナライザWT5000(/G7オプション付)およびIEC高調波/フリッカ測定向け統合計測ソフトウェアプラットフォームIS8011/IS8012をお使いいただくことで、特別な知識がなくてもIEC/JIS高調波/フリッカ規格適合判定、試験レポート出力までの作業を行うことができます。
高調波規格対応試験
WT5000(/G7オプション付)の測定データをIEC高調波/フリッカ測定が可能なIS8011/IS8012を用いてPCに取り込み、IECおよびJISに準拠した高調波試験ができます。電流センサーを使用すれば16A/相を超える機器の試験(IEC61000-3-12)に対応します。
電圧変動/フリッカ規格対応試験
IEC61000-3-3規格に準拠した電圧変動およびフリッカ測定が可能です。WT5000本体(/G7オプション付)単体での測定も可能ですが、IS8011/IS8012を使えば判定経過のdcやdmax、Pinst(瞬時フリッカ感)のトレンド表示、CPFグラフ表示、報告書の作成ができます。
プレシジョンパワーアナライザ WT5000とスコープコーダDL950、および統合計測ソフトウェアプラットフォームIS8000を組み合わせることで、国家基準に基づき校正された高信頼の電力測定値と、高速・高精度な電圧・電流、モータートルク波形を同時に記録・表示することができます。正確かつ効率的に、モーター・インバータを評価できます。
電力計ほどの高精度電力測定ではなく、おおまかに把握できれば良い場合、オシロスコープ、スコープコーダの電力演算機能がご利用いただけます。
DLM5000 /G03 電源解析オプション
最大4組の電圧、電流波形に対して有効電力/皮相電力/無効電力/力率などの電力パラメータを自動測定できます。
DL950 /G05 電力演算オプション
実効値、有効電力、積算電力、高調波など最大126種類の電力パラメータを演算し、測定する電圧、電流信号と、演算した電力パラメータの周期毎のトレンド波形を、同時にリアルタイム表示します。
電力パラメータのトレンド波形でトリガをかけることも可能です。
CTシリーズはそれら電力・効率測定の可能性を広げ、大電流の動作環境下での評価を可能にする電流センサーです。
持続可能な社会の実現に向けて、COP21におけるパリ協定の採択、既存エンジン車の販売停止計画発表など、グローバルで太陽光/風力発電に代表される再生可能エネルギーへのシフトと、EVやPHVおよびそのインフラ網の開発が加速しています。それらの更なる省電力化と高効率化を支援するために、従来機種の性能と機能を格段に向上させた高精度電力計です。
WT1800Eプレシジョンパワーアナライザは、最先端の研究開発で求められる高い性能と豊富な機能、拡張性を兼ね備えたモデルです。 EV/PHV/FCVなど自動車の電動化や再生可能エネルギー向けパワーコンディショナなどの技術開発や各種規格試験など、 パワーエレクトロニクスに関わる幅広いアプリケーションにお使いいただけます。
WT1800Rプレシジョンパワーアナライザは、最先端の研究開発で求められる高い性能と豊富な機能、拡張性を兼ね備えたモデルです。EV/PHV/FCVなど自動車の電動化や再生可能エネルギー向けパワーコンディショナなどの技術開発や各種規格試験など、パワーエレクトロニクスに関わる幅広いアプリケーションにお使いいただけます。
多くのお客様とともに培った高精度な電力測定技術と、長年オシロスコープの開発を支えた波形測定技術の融合により、電力測定に変革をもたらす新たな高精度電力測定器が誕生しました。PX8000は、電気エネルギーを正確に測定するために、相反する「高精度な電力測定」と「時間軸の分解能を上げた波形測定」の2つの命題を1台で解決へと導きます。
炭素排出量削減に貢献
いま世界は急速な変化にさらされており、エネルギー問題もその一つです。たとえば、自動車などの移動手段は、炭素排出量の削減のため今後より一層化石燃料からの脱却が進み、再生可能エネルギーにシフトしていきます。
よりクリーンでより環境に優しい世界へ。YOKOGAWAは持続可能なエネルギー供給の実現に向けて、高精度計測で貢献しています。
電気機器の消費電力を測定する電力測定器は、電気自動車、クリーンエネルギー、冷凍空調機器、産業用機器などの研究開発、生産ライン等の場面で、幅広く使用されています。
僅かな電気エネルギーのロスを正確に評価するため、測定器には高い精度が必要とされます。
YOKOGAWAは様々な用途をカバーする、パワーアナライザ、パワーメーター、パワースコープなどの幅広い製品ラインアップをご用意しています。