概要
CANバスは、複数の電子制御システムをデータバスで接続する標準プロトコルとして、現在では自動車・輸送機器をはじめ、FAや産業機器などの多方面で採用されています。
CANバスにおいて、データバスが空いている時は、接続されている全てのノードが平等にデータを送信できるマルチ・マスター方式です。複数のノードが同時にデータ送信を始めた場合、優先順位の高いIDのデータを送信しているノードが送信権を獲得します。また、複数のノードが自分が必要なIDのデータを同時に受信することが可能です。
データに含まれるIDを使い、複数のノードからのデータが衝突しないようにする仕組みをアービトレーション(通信調停)と呼びます。
特に自動車ではECUの増加に伴い、ECU間をつなぐゲートウェイなどが複雑に絡む時のアービトレーション(通信調停)の動作確認や遅延などを把握することが、ますます重要になっています。
ポイント
CANバスの解析
DLM5000は、CAN/CAN FDをはじめ、UART(RS232)/I2C/SPI/LIN/FlexRay/SENT/ CXPIの各種シリアルバス信号でのトリガ、デコード表示が可能です。
独自のシリアルバスオートセットアップ
ビットレートや電圧レベルなどの面倒な初期設定は一切不要です。DLM5000が自動で入力信号を判断しセットアップします。設定時間を大幅に短縮するだけでなく、設定ミスを防ぐこともできます。
最大4バス・2台連結で最大8バス同時解析
DLM5000は、4つのバスを同時に解析し、波形に対応したデコード表示やリスト表示が可能です。
“DLMSync”で2台のDLM5000を接続すれば、最大8バスの同時解析が可能です。
2か所ズーム
時間軸スケールの異なるズーム波形を2か所同時に表示できます。ある現象の「原因」と「結果」といったように離れた個所の同時ズーム表示や、拡大率を変えた表示ができ、解析に威力を発揮します。
ヒストリ機能
ユーザーの設定無しに自動的に、過去に取り込んだ波形を最大100,000個、アクイジションメモリーに保持でき、遡って波形を呼び出して解析できます。
統計処理・ヒストグラム表示
波形パラメータ測定結果の統計処理ができ、大変便利です。
詳細
アービトレーション(通信調停)の動作確認を行うには、各ノードが出力するIDとCANバス上のデータを同時に測定、解析する必要があります。
DLM5000をCANバスおよび各ノードに接続し、最大4バス、2台連結で最大8バスのデータを同時測定、解析することができます。
例えば、CANバスデータのSOFでトリガをかけ、各ノードの出力データとともに測定することで、アービトレーション(通信調停)の波形データ、デコートデータを表示できます。
4種類のシリアルバスの同時解析例
リスト表示(上段)とデコード表示(下段)
2か所ズームで解析の生産性アップ
時間軸スケールの違うズーム波形を2か所同時に表示できます。また、AutoScroll機能で、ズーム表示位置を自動的にスクロールさせることができます。
ある現象の「原因」と「結果」といったように離れた個所を同時に拡大したり、拡大率を変えて表示できることは、ソフトウェアのデバッグなどに威力を発揮します。
CAN FDなど高速差動信号の波形品位確認に
差動プローブ PBDH0500 701925
周波数帯域: 500 MHz
減衰比: 50:1
差動入力電圧:±25 V(DC+ACpeak)
電源:プローブI/F
DLM5000シリーズは、DLM4000シリーズの機能・操作性を継承しつつ、タッチパネル搭載により使いやすさに磨きをかけた新設計の大画面アナログ 8ch 入力 オシロスコープです。新たに4chモデルも追加されました。2台連結同期により、最大16chの測定が可能で、高度化・高速化するパワーエレクトロニクス、カーエレクトロニクス、メカトロニクス開発に最適です。
炭素排出量削減に貢献
いま世界は急速な変化にさらされており、エネルギー問題もその一つです。たとえば、自動車などの移動手段は、炭素排出量の削減のため今後より一層化石燃料からの脱却が進み、再生可能エネルギーにシフトしていきます。
よりクリーンでより環境に優しい世界へ。YOKOGAWAは持続可能なエネルギー供給の実現に向けて、高精度計測で貢献しています。
DLM3000HDシリーズは、小型軽量コンパクトながら大容量ロングメモリーと豊富な解析機能で好評いただいてきたDLM3000シリーズが電圧軸分解能を拡張し、メモリーを最大1Gポイント(/M3オプション)まで拡張、入力感度やアクイジションレートなど様々な改善を施した、新設計の4チャネルミックスドシグナルオシロスコープです。
YOKOGAWAのDLM5000HDは、最先端の4/8チャネル高分解能オシロスコープです。コンパクトな8チャネル、垂直軸分解能12ビットのオシロスコープで、複雑な高速波形を高分解能で観測・解析でき、微細なノイズやリンギングなどの確認が容易に行えます。回路チェックからトラブルシューティング、高度なタイミング解析まで、幅広いアプリケーションをカバーしています。