概要
近年の自動車の電動化、インテリジェンス化に伴い、その制御システムは複雑化し、車両システムの総合評価はますます大変な作業となっています。
電動モーターやバッテリ、ADAS/AD やステアリング・アンチロックブレーキなどの運転支援機能、エアバッグやシートベルトなどの安全装置を含め、ECU で制御される各サブシステムは CAN FD などの車載シリアルバスでネットワーク化しています。また、騒音や振動を抑えた乗り心地の向上も重要な評価項目です。
実験ベンチやテストコース、公道での車両システムの総合評価は多項目にわたり、何度も実験が行える状況にはありません。そのため、車載シリアルバスデータとアナログ信号を同時記録できること、生データを長時間記録して後からでも解析できること、ノイズ下でも多項目にわたり確実に計測ができることなどが重要になってきます。
DL950 は、自動車市場で好評の DL850 シリーズの機能・性能を大幅に強化した、新設計のスコープコーダです。
ポイント
高電圧や大電流の波形計測において、絶縁不全や誤配線、過入力などに起因するショートや感電事故、計測器の破損の可能性があります。このような事故を防止するため、計測器が絶縁入力であることが重要です。DL950 をはじめスコープコーダシリーズには、最大 1000 V 入力モジュールをはじめ、多種の絶縁入力モジュールを用意しています。
各種モーターや制御システムの電圧・電流、モーター回転速度、バッテリ電圧変動をはじめ、振動や騒音、温度、ひずみなどを同時に測定する場合があります。DL950 は、最大 32 チャネル、5 台連結で最大 160 チャネルが可能です。
インバータやバッテリの急激な電圧変動を把握するには、高速サンプリングが必要になってきます。DL950 は、最高200 MS/s のサンプリングが可能です。また、チャネルごとに異なるサンプルレートを設定でき、温度など低速サンプルチャネルとあわせ、データ量を抑えることができます。
CAN /CAN FD /LIN /SENT の車載シリアルバス上のデータをトレンド表示できます。例えば、CAN FD 上の車速データとモーター駆動の電圧・電流、モーター回転数、温度や振動などのセンサー出力と同時計測が可能です。
8 G ポイントのメモリーおよび 512 GB 内蔵 SSD にデータを長時間記録可能です。さらなる高速記録が可能なフラッシュアクイジションも使用可能です。
また、IS8000 統合計測ソフトウェアと組み合わせることで、10 Gbps イーサネット(/C60 オプション)経由で PC のストレージにリアルタイムで長時間記録が可能です。
特長
12.1 型 XGA タッチパネルによる直観的な操作を実現しました。また、インバータ近くのノイズが多い環境でも、正常に動作するように設計されています。万が一タッチパネルが誤動作する場合は、タッチパネルを OFF にして、ハードキーとジョグダイヤルで全ての機能を操作することができます。
電力解析機能(/G05 オプション)を使い、モーターの回転速度、トルクと同時にインバータの入出力の電圧・電流から電力や変換効率をリアルタイムで演算、表示できます。外乱による高調波の影響も解析可能です。
IS8000 統合計測ソフトウェアを利用すれば、DL950 と高い測定精度の WT5000 を同期させて、厳密なモーター・インバータの評価が可能です。
リアルタイム演算機能(/G03 オプション)を使い、電動パワーステアリングのトルクセンサーやレゾルバからの信号からトルクと操舵角をリアルタイムに演算、アシストモーターの駆動電流や車載シリアルバス上の車速信号とあわせて、同時に表示することができます。
衝突のインパクト入力からのエアバッグやシートベルトのセンサー出力や制御信号を、最大 200 MS/s のサンプリングで連続記録ができます。
IS8000 統合計測ソフトウェアを利用すれば、高速度カメラの映像と記録した波形データを同時再生できます。これにより、物理的な状況と電気信号の相関を解析できます。
自動車の各所に使われている ECU の制御ソフトウェアが算出する制御データと制御対象の実際の挙動を比較、検証することは、重要な評価項目です。
IS8000 統合計測ソフトウェアを利用すれば、DTSインサイト社製の RAMScope で取得した制御データとDL950 で計測した各種の波形データを同時表示でき、制御の応答性や妥当性を検証することができます。
長時間の耐久試験を行う場合、全ての信号を高速サンプリングするとデータ量は膨大になってしまいます。デュアルキャプチャー機能を使えば、低速サンプリングでトレンドを把握しつつ、突発的な過渡現象を高速サンプリングで補足できます。
アクセサリの GPS ユニットを接続すれば、計測データとともに時刻・位置の情報を同時に記録できます。
ソフトウェアの DIAdem を利用すれば、計測データと地図上の走行トレースデータを同時に表示可能です。走行トレースデータのみの表示であれば、Google Earth Pro も利用できます。
* 本文中に使用されている会社名、団体名、商品名およびロゴ等は、横河計測株式会社、各社または各団体の登録商標または商標です。
DL950は、DL850E/EVの機能・仕様を大幅に改善し、タッチパネルによる直観的操作を可能した新時代のスコープコーダです。
200MS/s高速サンプルレート、最大8Gポイントメモリー、複数台同期で最大160CHが可能で、お客様の様々なニーズにお応えします。
オシロスコープは、高速な電気信号を波形として表示するエレクトロニクス技術者必須の測定器です。
ユニークな縦型コンパクトモデルや多チャネルモデルのオシロスコープに加え、オシロスコープとデータロガーの機能を兼ね備えたスコープコーダなど、特長ある製品ラインアップをご用意しています。
また、様々な測定に対応する電圧プローブ、電流プローブ、ロジックプローブを取りそろえ、数々の先進機能を搭載し、日々の測定業務を強力に支援します。
高速捕捉・高速転送・高速保存を追求し、ハイパフォーマンスを実現した 高速データロガー、高速データ収集装置です。測定対象に応じたプラグインモジュールを選択、組み替えることで、インバータや電源などに代表されるフローティング電圧測定のほか、各種センサーを直接接続でき、1台で様々な物理量を測定することが可能です。
スコープコーダは、オシロスコープの使い易さと多チャネルデータ収集するデータロガーを融合した統合型計測器です。
スコープコーダ一台で、信号を同時にデータ収録し、オシロスコープと同様のトリガ機能を揃え、データ表示、分析ができ、様々な用途にお使いいただけます。